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マーケティングリサーチ

石井栄造 日本能率協会マネジメントセンター 2002(2001)


第1章 マーケティングリサーチとは何か
1. マーケティングリサーチとは
「マーケティング活動の企画、遂行、検証の各場面で発生する課題に対して何らかの手段でデータを収集し、分析し、その課題の実態や構造を明らかにする手段」
4P:マーケティングを構成する要素
Product Price Place Promotion
2. マーケティングリサーチの必要性
3. 定量調査、定性調査とは
定量調査は結果を「数値」で表し、定性調査は「言葉」で表す
4. 面接調査、非面接調査とは
面接調査:グループインタビュー、パーソナルインタビュー(デプス
     インタビュー)
     ○本人の特定可、詳細なデータ収集が可能
     ×費用と時間がかかる
両者の中間:CLT(セントラルロケーションテスト)=会場調査、電話調査
非面接調査:通信手段による
○費用と時間が合理化できる、面接で答えにくいことも質問できる大量のデータ収集が可能
×調査時間、調査内容が限定される、本人の特定が難しい、商品などの実物を見せることが難しい
5. 一次データ、二次データとは
一次データ:新たに収集したデータ
二次データ:既に発表されているデータ
6. 意思決定の材料となるリサーチデータ
スピード経営の現在、リサーチのスピード化が重要
仮説を設定→調査方法の決定→実査→分析、集計→報告
7. リサーチャーの仕事
リサーチャーは企業と消費者のインターフェースをとること
リサーチニーズはあらゆるところに潜在している。それを明らかにする作業が必要。
8. リサーチャーの要件・リサーチセンス
基本能力:データ収集能力、データ分析能力、表現能力
リサーチセンス:データの出所、理由を考える、数値が意味するものを考える(疑う)
コトラー「マーケティングマネジメント」
9. リサーチャーの要件・分析力
データ:事実にのみ注目、恣意的な解釈をしない、比較する、順番に並べ替える、似たもの同士を集めてグループ化してみる
10. リサーチャーの要件・プレゼン力・提言力
起承転結がはっきりしていること、データの精度の保証があること、結論がブレない(一本の論理でたどれる、提言は主要なものひとつに絞る)
自分の思考がデータに埋もれたら、マーケット全体の視点から俯瞰し直す

第2章 マーケティングリサーチの手順
11. マーケティングリサーチの作業手順
マーケティングテーマの発見
 ↓
リサーチ課題化
 ↓
仮説構築
 ↓
企画書構築
 ・母集団
 ・抽出
 ・調査背景・目的
 ・調査方法と調査票
 ・集計・分析方法
 ・調査日程・費用
 ↓
準備 抽出作業・調査票作成・集計計画作成
 ↓
実査
 ↓
エディティング・集計
 ↓
分析・報告書作成
 ↓
プレゼンテーション
12. マーケティングリサーチのリサーチ課題化
マーケティング上の問題のリサーチ化
問題の原因は何か?
問題を解決するために不足しているデータは何か?
13. 仮説構築の重要性
仮説=リサーチ結果の予測
14. リサーチ企画書の作り方
企画書の構成
・タイトル
・背景:リサーチが必要になった経緯
・目的:リサーチのアウトプットの方向 ・調査方法:母集団 抽出名簿 抽出方法 標本構成 分析方法
・調査項目:調査票の目次
・調査日程:調査票の印刷 抽出の完了 実査期間 集計期間 分析期間
・調査費用
・スタッフ:外注の場合、その会社名と理由
15. 調査手法は何にするか
種類 調査手法 予算 期間 特徴
定量調査 訪問面接調査 高 長 定量調査の基本。テーマの適応範囲が広い純粋想起、助成想起の区別ができる。が、実施はもっとも困難
留置調査 高 長 一定期間の行動記録が取れる。純粋想起では調査しない。パネル調査も含まれる
郵送留置 中 長 調査票の配布と回収のいずれかを郵送する。両方を郵送することもある
ホームユーステスト 高 長 実際の使用現場で使用してもらう。第一印象だけでなく、定常的な評価がとれる
CLT(セントラルロケーションテスト) 中 短 製品、広告など実物や実物に近いものを提示して評価できる
郵送調査 安 長 費用の合理化以外にメリットは少ない。純粋想起では調査しない
電話調査 安 短 早く安いのが特徴。選挙のときなど速報性が強み
インターネット調査 安 短 方法論としては確立していない。使い易さと安さで最近よく使われる
定性調査 キーマンインタビュー 業界の知識が豊富な人、影響力のある人にインタビュー。業界全体の動向予測に使われる
パーソナル(デプス)インタビュー 個人の深層心理にまで及んだ分析が可能。一人ひとり面接するので効率は悪い
ペアインタビュー 意志決定がペアで行われる商品ジャンル向き。住宅、結婚式場などが典型
グループインタビュー 最もオーソドックスな定性調査。参加者の意見の交換から消費者の潜在的な意識が発見できる
観察調査 対象者の普段の生活や行動が観察できる
*純粋想起:回答者が選択肢がなくても自然に想い起こすことが出来ることやもの
*助成想起:回答者がいくつかの選択肢を与えられて初めて想い起こることが出来ること  
やもの
16. 対象者の抽出から結果分析までの作業の流れ
母集団規定
 ↓
抽出作業
 ↓
実査
 ↓
集計
 ↓
分析(母集団推計)
母集団推計=拡大推計=サンプルの分析結果をもとの母集団の数に合わせて換算すること・リサーチ結果の平均金額を市場規模にすること
17. サンプル数を決める
調査結果の精度とサンプル数は比例
?単純無作為抽出の誤差式で、誤差計算
?マトリックス表
18. 母集団推計の実施方法
母集団=調査単位の特性をあらわす集団
ユニバース=調査単位全体
19. 母集団から調査対象者を抽出する
抽出フレーム=調査対象を母集団の中から選ぶための名簿・リスト
住民基本台帳 プライバシーを理由に閲覧拒否が多い
選挙人名簿 日本国籍を有する20歳以上の男女
電話帳 電話帳に記載しない人が増えている
業務用住宅地図 価格は高いがデータ内容は充実してきている
事業所統計 タイムラグが大きい
各種年鑑 紳士録・職員録など
協会・会員名簿 加入率や更新年月をチェックしておく
販売されている名簿 不法入手のものもある。ネットに対応したものもある
20. リサーチデータべースを作る
ノーム値=基準値・標準値
21. データベース整備のポイント
良いデータベースとは、量と質が充実していること
質:データの深さ、検索のし易さ、加工の発展性
*クラスター:ライフスタイルや価値観などが似ている人をグループ分けする
22. 調査票の作り方
知りたいことを絞り込むこと
調査票で聞かなかったことは分からない。余計な質問は混乱のもと
・導入部:タイトル、趣旨説明、実施機関、責任者名、連絡先
・テーマ
・展開部
・終了部:属性、記入内容チェック、協力へのお礼
23. 調査票のボリュームの決め方
調査仮定と関係ない質問はないか
同じような質問はないか
オープンアンサーは多すぎないか
出来るだけプリコードしておく
24. 質問文の作り方
限定する
分かりやすい表現(×専門用語、あいまいな表現)
答えやすい(質問は常識的な範囲で)
読みやすい(字の大きさ、ルビ振り、アルファベット表記はカタカナ併記)
偏りがない(×「好きですか?」 ○「好きですか、嫌いですか?」)
25. わかりやすい質問文の書き方
(質問される人の立場で)
・短く簡潔に
・ひとつの質問文にはひとつの質問
・対象者の反感を買うような質問はさける
・回答を誘導しない
・一般の人が分かる言葉を使用
・同音異義語には特に注意
・「使う」と「買う」ははっきり区別
26. 質問文の順番の決め方
簡単な質問から徐々に詳しい質問へ
回答肢の順序(50音順、シェア順など)
時系列順
27. 謝礼の決め方
図書券 テレホンカード その他金券 現金など
抽選方式:高額な商品(金券)を抽選する
ポイント制:モニター制度を前提にして一回の協力でポイント数を積み上げ、後で精算する(インターネットで継続的に調査する場合など)
28. 実査(フィールドワーク)の進め方
調査手配:必要な調査員数 指導員手配 熟練度チェック
 ↓
物品準備:調査票 指示書 対象者謝礼 提示リストサンプル
 ↓
調査員教育 指示集会 ロールプレイング
 ↓
初票チェック
 ↓
インスペクション 調査員とは別ルートで無作為に
 ↓
回収チェック
29. 行動観察調査によるデータ収集
マーケティングリサーチのデータ収集:質問文調査・観察調査・市場実験
観察調査でのビデオ録画
メリット:繰り返し観察できる
     客観的な分析が可能
     意見交換しながら分析可能
     分析者全員の視点を統一できる
デメリット:細部の分析(観察)ができないことがある
      死角ができやすい
      プライバシーの問題
30. 行動観察調査の分析
観察内容・リサーチャーの気づいたこと・問題解決のアイディアを分けてメモ
31. 集計の行い方
エディティング:記入漏れや記入ミスをチェック、再調査
アフターコーディング:自由回答(好意的1、拒絶2など)
有効票と無効票の分類
集計ソフト SAS:専門的なソフト。世界標準になりつつある
SPSS:SASより扱いが簡単
Excel
32. クロス集計の行い方
GT:グランドトータル
?GT表:各質問項目に回答者全体の反応数とパーセンテージを示したもの
クロス集計:表頭に回答肢、表側にクロス項目(性別、年齢など)
3重クロス:ブレークダウンされた項目を母数にして更にクロス分析すること
33. 集計に使うデータの種類
定性的扱い 名義尺度:性別、ブランド名などカテゴリーを表すもの
      順序尺度:名義尺度に順位付けをしたもの
定量的扱い 間隔尺度:好き嫌いなどを何段階かで評価する
      比率尺度:身長、金額などの実数
34. 集計結果をグラフで表現する(データのビジュアル化)
・帯グラフ:構成比の比較に
・折れ線グラフ:時間的変化を見るとき
・棒グラフ:複数のデータを比較するとき 折れ線と組み合わせて
・円グラフ:構成比が一目で分かりやすい
・レーダーチャート:イメージ調査などプロフィールを表現するとき
・ポジショニングマップ:位置づけの把握に
35. どのように分析するか
調査結果の把握→データの差や傾向の発見→データの差や傾向の解釈→新事実の発見→結論(具体的施策に結びつくように)
36. データ分析の種類
・時系列分析:継続的に収集されたデータの分析
・横断的分析:リサーチの前後に比較するデータがなく、ある特定の時点で行う  
         データ分析
・クロス分析:2つの変量(リサーチの集計数値)の関係に注目して分析
・多変量解析:数多くの変量を一度にまとめて分析
37. 横断的クロス分析とは
38. 時系列分析とは
・データの時間間隔が同じであること
・調査方法が同じであること
・予測に使えることが最大の特徴
・時系列データから傾向値のみを取り出す方法→移動平均法
39. 時系列分析のヒントとなるコーホート分析
使用するデータ期間が非常に長く、数年分のデータが必要
コーホート:同一時期に同一の行動を行った集団(出生コーホート、結婚コーホ 
ート)一般的にはコーホート=出生コーホート=世代
標準コーホート表:調査間隔と年齢刻みが同じもの
40. 多変量解析とは
三つの変量(変数)を一度に総括的に分析する方法
41. 多変量解析の使い方
42. リサーチ報告書の書き方
表紙:報告先、タイトル、報告の日付、調査主体
概要:企画書の必要部分ををそのまま
結論:仮説の検証結果を要約、提言は必ず
詳細分析:チャートやグラフを必ず
資料
43. トップラインレポートを書くケース
トップラインレポート=調査速報ダイジェスト版
44. 結論の書き方
・実態把握型:必要事項を箇条書きに
       重要な数値を強調
       全体→細部
・仮説検証型:仮説が検証されたか棄却されたか
       上記のデータによる裏づけ
       分析者の解釈や判断
45. 詳細分析の書き方
図や表の形式を統一
レイアウトの統一 調査票の質問順に
事実に関するもののみ(分析者の判断、意見は加えない)
46. プレゼンテーションの進め方
47. 調査会社の選び方
・日本マーケティングリサーチ協会に所属しているかどうか
・従業員数や売り上げなど規模の大きさ
・リサーチ専業かどうか
・得意分野を持っているかどうか(データベースを持っている、リサーチモニタ 
ーを活用している)
・スタッフが優秀(リサーチスキル+マーケティングマインド)
48. リサーチ予算の立て方
企画設計費 抽出作業費 実査費 インプット費 集計費 分析費 報告書作成費 
いかに人手をかけずに費用を合理化するか?
調査会社のデータベースの利用
ネットの活用

第3章 グループインタビューの進め方
49. グループインタビューの特長
消費者真理の把握、軌道修正しながらのリサーチが可能
コンセプトチェックやブランドイメージの把握に有効
50. グループインタビューの進め方
会場手配、対象者リクルーティング、インタビュースクリプト作成
インタビュー時間:2時間が原則(うち30分は自己紹介、趣旨説明、終わりの挨拶など)
準備するもの:対象者名簿、名札、飲み物、謝礼、録音・録画機材
51. グループインタビューは何人でやるか
5〜9人
52. グループインタビュー対象者の抽出
一定の切り口で同質の人間を集める
53. インタビュースクリプトの書き方
趣旨説明、自己紹介→テーマまわりの話題、考えなくても答えられる質問→主題→言い忘れたことはないか確認、お礼
54. モデレーションのやり方
55. 特殊な対象者への対応
56. インタビュー分析方法
57. 発言録の作り方

第4章 新製品開発のマーケティングリサーチ
58. まずはコンセプトについて考える
既存市場分析とコンセプトの表現方法(一貫性+消費者に分かりやすい表現)
59. コンセプトリサーチの行い方
きっかけ:開発者のアイデア、消費者からのクレーム
既存ブランドをポジショニングマップの上に置き、空いている空間を見つける(ニッチ戦略)
60. コンセプトチェック調査の行い方
61. ネーミング開発のリサーチの進め方
アイデア出し、既存ネーミングチェック→和名、洋名、意味、文字数、音感の分析→登録商標のチェック→リサーチ(コンセプト、覚えやすさ、親近感など)
62. 新製品の価格決定
・マークアップ方式:製造原価に流通コストを足して適正な利益を上乗せ(公共性の強いものに採用されている)
・戦略的価格決定:総コストを下回った価格政策がとられることもある
 →価格決定のリサーチ
  消費者心理:安いにこしたことはないと低めの価格を答える
       (リサーチ側への遠慮から)高めに答える
       →質問文:「あなたが自分で買って、自分で使うとすれば・・・」
            「いくら以下だと品質に不安をもつか?」
63. 価格データの集め方と価格弾力性
消費者パネルデータ、POSデータ、店頭価格調査、チラシ広告調査
価格弾力性:価格の上昇や下降によって販売量に変化が現れる特性
64. 製品ライフサイクルの把握方法

第5章 プロモーションのマーケティングリサーチ
65. 広告制作のリサーチ
テレビCMの広告作品評価
インパクト、好意度、理解度、マンネリ度、購入喚起力、ブランドとの連動性
66. 広告効果測定の実施方法
67. キャンペーン効果測定の実施方法
インセンティブ:企業が販売促進の為に提供する報酬・賞およびその行為
68. プロモーション効果測定の実施方法
69. プロモーションミックスの効果測定
メディアミックス:各種の媒体を組み合わせて、広告が広告の訴求対象者層に有効に到達するようにすること
70. 口コミのリサーチ
ポジティブな口コミかネガティブな口コミか
ネガティブなほうが早く、広範囲に伝わる
71. メディアプランニングとリサーチ

第6章 ブランドのマーケティングリサーチ
72. ブランドとは
「水」→カテゴリー名
「六甲のおいしい水」→ブランド名
カテゴリーだけをリサーチテーマにしているのは官庁統計だけ
73. ブランド価値を表す指標
74. ブランドロイヤリティの測定方法
75. ブランドロイヤリティを表す指標
76. ブランドイメージを把握する
77. ブランドイメージの測定方法
SD法:意味が反対の形容詞の対をたくさん用意しておいて、5段階や7段階でブランドの印象を答えてもらうもの
78. ブランドポジショニングの行い方
?ポートフォリオ分析:

第7章 市場シェアのマーケティングリサーチ
79. 市場シェア把握の重要性
80. 市場シェアを測定するには
81. シェア低下が起きたときのリサーチ
82. マインドシェアをチェックする
マインドシェア:潜在的にある商品やサービスにロイヤリティを抱いている心理的なシェア(=実際の購入とは関係なく、そのブランドに好意を持っている人の割合)
83. シェアのロックイン現象とは
偶然による商品選択がその後継続的に行われる現象→例え安価な最寄品であっても選択するという行為は心理的負荷がかかる。この心理的負荷を軽くする行動をとる
84. シェアパターンを知っておこう
独占、寡占など・・・
シェアパターンそのものはあまり変わらない

第8章 インターネット調査のポイント
85. インターネット調査のメリット
スピード、コスト、フレキシビリティ
86. 調査協力が得やすいインターネット調査
*協力を得やすいボリュームはA4で2〜3枚まで
時間的制約がない
質問の複雑な分岐によるミスが少ない
本音を語ってくれる傾向が強い
*ラポール:親密な関係
87. 調査対象者を選ぶポイント
謝礼があまりに魅力的だと「なりすまし」をまねく
調査目的を回答者に明確に示す→トラブル防止
88. ネット調査で希少対象者を探す
89. インターネット調査の種


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